医療の質評価指標(QI:クオリティ・インディケータ)

 QI(クオリティ・インディケータ)とは、医療の質を定量的に評価し、病院の様々な機能を適切なインディケータ(指標)を用いて表したものです。各分野で着目する指標を設定し、ある医療行為等を行った対象を分母として、得られた「望ましい結果(望ましくない結果)」やそのプロセスの適切さの程度を「比率で表す」という特徴があり、より改善につなげるために検証していく指標となっています。

患者満足度(外来患者・入院患者)

 受けた治療の結果や安全な治療に対する患者様の満足度をみることは、医療の質を測るうえで直接的な評価指標の重要な一つと言われています。
 当院では、院内の患者満足度向上委員会で、毎年、患者満足度調査アンケートを実施しています。評価は「満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・不満」の5段階評価です。

患者満足度(外来患者)
患者満足度(入院患者)

算出方法
【分子】 「この病院について総合的にどう思われますか?」の設問に満足+やや満足と回答した患者数
【分母】 患者満足度調査に回答した患者数

救急車・ホットライン応需率

 病院の救急医療の機能を測る指標の1つです。救急車受入要請のうち、何台受け入れできたのかを示しています。
救急診療を担当する医療者の人数、診療の効率化、入院を受け入れる病棟看護師や各診療科の協力など様々な要素が関わります。
 当院では、救急委員会にて受け入れができなかった事例も報告し、検討をしています。

救急車・ホットライン応需率

算出方法
【分子】 救急車で来院した患者数
【分母】 当院への救急車受入要請人数

入院患者の転倒・転落発生率

 入院中の転倒やベッドからの転落の原因は、入院という環境の変化によるものや、疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなど様々です。転倒・転落を完全に予防することは困難ですが、可能な限り少なく抑える工夫は必要です。
 当院では、入院時に転倒・転落のアセスメントシートを用いて、患者様の転倒・転落のリスクを把握し予防対策を検討しています。

入院患者の転倒・転落発生率

算出方法
【分子】 インシデント・アクシデントレポートが提出された転倒・転落件数
【分母】 入院延べ患者数

褥瘡発生率

 褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標です。
褥瘡の発生は、患者さまのQOL(生活の質)の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって、在院日数の長期化や医療費の増大につながります。

褥瘡発生率

算出方法
【分子】 褥瘡の深さがd2以上の褥瘡の院内新規発生患者数
【分母】 入院延べ患者数

血液製剤廃棄率

 輸血用の血液製剤は、安全で適切に無駄なく使用されなければなりません。
血液製剤の廃棄率は、輸血血液製剤が病院内で適切に管理されているかどうかを示す指標となります。献血に由来する血液製剤はその有効利用が求められ、購入した製剤全てが無駄なく使用されることが望まれます。

血液製剤廃棄率

算出方法
【分子】 廃棄血液製剤の単位数
【分母】 使用血液製剤の単位数+廃棄血液製剤の単位数

薬剤管理指導の実施率

 薬剤管理指導とは、入院患者様の薬歴管理と服薬指導を介して、患者様の薬物療法への認識を向上させ、また、患者様から得られた情報を医師にフィードバックすることにより、薬物療法を支援する業務のことです。
薬剤管理指導は、患者様のお薬への理解を深めること、及び正しい服薬に有効であり、実施率は、医薬品の適性使用(安全使用)の指標とも言えます。

薬剤管理指導の実施率

算出方法
【分子】 退院患者のうち薬剤管理指導を実施した患者数
【分母】 入院期間中に一度でも投薬又は注射した退院患者数

回復期リハ病棟 在宅復帰率

 急性期の治療が終了した患者様へ集中的にリハビリテーションを行い、ADL(日常生活動作)の改善による早期退院と在宅復帰を目指すという、回復期リハビリテーション病棟の最大の役割を表す指標です。

在宅復帰率

算出方法
【分子】 自宅及び在宅扱いとみなされる施設へ退院した患者数
【分母】 回復期リハ病棟から退院、退棟した患者数

回復期リハ病棟 退院時リハビリテーション指導実施率

 患者様の退院に際し、患者様の病状、家屋構造、介護力などを考慮しながら、退院後の療養上必要な指導を患者様やご家族へ実施した割合を示します。
 入院中に得たADL(日常生活動作)が退院後の生活で衰えたりしないよう、また、退院後の不安を解消する意味でも大変重要な指標です。

退院時リハビリテーション指導実施率

算出方法
【分子】 退院時リハビリテーション指導の実施数
【分母】 リハビリ対象の退院患者数

慢性期病棟 身体抑制率

 医療の現場では、自らの身に生じる危険を回避することが困難な患者・高齢者に対して、危険を回避する目的で身体抑制をせざるを得ない場面があります。その際、身体抑制の必要性に関する判断は、患者の生命・身体の安全確保の観点から行い、必要最小限にとどめることが大切です。
 この指標は、身体抑制の実態を把握し、早期に抑制解除を行う努力が継続されているかを検証するものです。

身体抑制率

算出方法
【分子】 分母のうち(物理的)身体抑制を実施した入院延べ患者数
【分母】 入院延べ患者数

慢性期病棟 在宅復帰率

 慢性期の患者様は、急性期、回復期と比べて高齢者の割合が高く、在宅復帰後の医療や介護に対する不安を抱く患者様やご家族が多くいらっしゃいます。しかし、住み慣れた家や地域で過ごすことを希望される患者様も多く、また、厚生労働省も在宅医療を推進していく方針を掲げています。
 在宅復帰後も、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの充実、さらに地域との連携による患者様やご家族へのサポートにより、継続した医療や介護を受けられることで、在宅復帰に対する不安を減らし、在宅復帰率を上げることが患者様の生活の質(QOL)の向上につながると考えられています。

在宅復帰率

算出方法
【分子】 在宅への退院患者数
【分母】 退院患者数